リキッドを制する者は眉を制す!プロが教える「失敗しない」アイブロウ戦略
「夕方になると、眉尻が消えてなくなる…」
「パウダーだけで仕上げると、なんだかのっぺりしてしまう…」
「もっと、自眉がフサフサしているように見せたい!」
眉メイクの悩みは、本当に尽きることがありませんよね。
何を隠そう、私自身が長年、この「眉迷子」の無限ループから抜け出せずにいました。特に、リキッドアイブロウに対しては、「難しそう」「描きました感がすごい出そう」「海苔みたいになったらどうしよう…」という、強い苦手意識を持っていた一人です。
ペンシルで描いてはぼかし、パウダーを重ね、眉マスカラで整える。その完璧のはずだった私の眉は、汗をかいた日には跡形もなく消え去り、友人と温泉旅行に行った日には、すっぴんの「マロ眉」を晒して笑われたことも一度や二度ではありません。
そんな私が、あるメイクアップアーティストの方に「リキッドを制する者は、眉メイクを制するのよ」と教えられ、半信半疑で手に取った一本のリキッドアイブロウ。それが、私の眉メイク人生を、文字通り180度変える、運命の出会いとなりました。
これからお話しするのは、単なるメイクのテクニックではありません。
かつての私のように、リキッドアイブロウに苦手意識を持っているあなたが、その呪縛から解き放たれ、まるでプロが1本1本描き足したかのような、リアルで、美しく、そして落ちない「本物」の眉を手に入れるための、具体的な戦略と実践的な知識です。この扉を開けば、あなたのメイクは、もっと自由で、もっと楽しくなる。私が保証します。
1. リキッドアイブロウのメリットとは?
私がリキッドアイブロウを頑なに避けてきた理由は、その「くっきり、はっきり」としたイメージにありました。ペンシルやパウダーの、あのふんわりとした優しい質感を愛していた私にとって、液体のアイブロウは、あまりにもシャープで、まるでサインペンのように見えていたのです。
しかし、その先入観こそが、私の可能性を狭めていた最大の壁でした。勇気を出して使ってみて初めて分かった、リキッドアイブロウだけが持つ、圧倒的なメリット。それは、大きく分けて3つあります。
メリット1:圧倒的な「落ちにくさ」と「持続力」
これが、私がリキッドの虜になった最大の理由です。ペンシルやパウダーの主成分が「粉」であるのに対し、リキッドは肌にピタッと密着する「染料」や「顔料」でできています。
そのため、汗や皮脂、そして前髪などのちょっとした摩擦にも、びくともしない鉄壁の持続力を誇るのです。
特に、眉毛がほとんど生えていない「眉尻」は、皮脂が出やすいこともあり、夕方には消えてしまいがち。この眉尻のラインをリキッドで描いておくだけで、「一日中、眉がある」という、圧倒的な安心感を手に入れることができます。夏のフェスで汗だくになっても、温泉に入っても、私の眉尻はそこに在り続けた。この感動は、一度味わうと、もう後戻りはできません。
メリット2:「1本1本」を描き足せる、究極のリアル感
ペンシルでは「面」を埋めることしかできず、パウダーでは「影」を作ることしかできません。
しかし、リキッドアイブロウは、極細の筆先で、まるで本物の毛のような「線」を、自由自在に描き足すことができる唯一のツールです。
眉頭の立ち上がりの毛、眉尻のシュッとした流れ、眉の中の「ちょっとした隙間」。
ここに、毛流れに沿って数本のリキッドの線を加えるだけで、眉全体の立体感と生命感が、劇的にアップします。のっぺりとした「描いた眉」から、元からフサフサしているかのような「自眉感」のある眉へと、進化させることができるのです。
メリット3:メイク全体の「洗練度」が格段にアップする
眉尻のラインが、シャープに、そして美しく決まっている。ただそれだけで、顔全体の印象は驚くほど引き締まり、メイク全体が「きちんと手入れされている」という、洗練された印象になります。
ふんわり眉も可愛いけれど、大人の女性としての品格や、知性を演出したい時、リキッドで描かれたシャープな眉尻は、何よりの武器となるのです。
リキッドアイブロウは、単に「落ちない」だけのアイテムではありません。あなたの眉メイクを、平坦な「2D」から、奥行きのある「3D」へと進化させ、メイク全体のクオリティを格上げしてくれる、魔法の一筆なのです。
※関連記事:眉メイクの順番、本当にそれで合ってる?美眉を叶える正しいプロセス
2. 初心者でも失敗しない色の選び方
リキッドアイブロウで初心者が犯しがちな、最も悲劇的な失敗。それは「色選び」です。
私自身、黒髪だからと安易に一番濃いダークグレーを選び、鏡の前で愕然とした苦い過去があります。リキッドは、ペンシルやパウダーに比べて発色が良いため、色選びのわずかなミスが、致命的な「描きました感」に直結してしまうのです。
もう、あなたに同じ失敗はしてほしくない。その一心で、私が数々の失敗を経てたどり着いた、絶対に失敗しないための「色選びの法則」を伝授します。
基本法則:「髪色」より、ワントーン明るめを選ぶ
これは、アイブロウメイクの基本中の基本ですが、リキッドにおいては、より強く意識する必要があります。「髪色と同じ色」を選ぶと、リキッドのしっかりとした発色と相まって、眉だけが顔の中で悪目立ちしてしまいます。ほんの少しだけ明るい色を選ぶことで、肌になじみ、自然な抜け感が生まれます。
応用法則1:「瞳の色」と「肌の色」で、微調整する
髪色だけで選ぶと、時々「なんだか浮いて見える…」という現象が起こります。そんな時は、あなたの「瞳の色」と「肌の色(パーソナルカラー)」を考慮に入れると、驚くほどしっくりくる色が見つかります。
<瞳の色が明るい茶色の方、イエローベースの肌の方>
少し黄みがかった「ライトブラウン」や「オリーブブラウン」がおすすめです。温かみのある色が、肌や瞳と調和します。
<瞳の色が黒〜こげ茶の方、ブルーベースの肌の方>
赤みを抑えた「アッシュブラウン」や「グレーブラウン」が、クールで洗練された印象にマッチします。黒髪の方が、真っ黒や濃すぎるグレーを選ぶと、本当に「海苔」のようになってしまうので、少しだけ茶色みのあるグレーを選ぶのが、垢抜けの秘訣です。
最強の法則:「迷ったら、薄い方を買う」
店頭のテスターで、2つの色で迷ったら、必ず「薄い方」を選んでください。
なぜなら、リキッドアイブロウは、重ね塗りすることで、いくらでも濃く調整することが可能だからです。
しかし、一度濃く描いてしまったものを、薄く修正するのは至難の業。
特に初心者のうちは、「ちょっと薄いかな?」と感じるくらいの色から始めるのが、失敗を回避するための、最も賢明な選択です。
最近のリキッドアイブロウは、本当にカラーバリエーションが豊富です。
ピンクブラウン、オレンジブラウン、アッシュピンク…。基本の色をマスターしたら、アイシャドウやファッションに合わせて、眉色で「遊ぶ」ことができるのも、リキッドの大きな魅力の一つ。
まずは、失敗のない基本色で自信をつけて、あなただけの色を見つける旅に出てみてください。

3. 筆先の種類(細筆・フェルト)と特徴
リキッドアイブロウの世界に足を踏み入れると、あなたは二つの選択肢に直面します。
それは、筆先が「細筆(筆ペン)タイプ」か、「フェルトタイプ」か、という問題です。
これは、絵を描く時に、繊細な日本画用の筆を選ぶか、安定感のあるサインペンを選ぶかに似ています。どちらが良い・悪いではなく、あなたの「目的」と「スキル」によって、最適なパートナーは変わってきます。
細筆(筆ペン)タイプ:繊細な線を描く、孤高のアーティスト
まるで書道の小筆のように、一本一本が細くしなやかな毛で作られたタイプです。
<特徴とメリット>
・究極の繊細ライン: 筆のしなりを活かすことで、まるで本物の毛と見分けがつかないような、強弱のある、ごくごく自然な線を描くことができます。
・自由自在な表現力: 筆を寝かせれば太い線、立てれば細い線と、力の入れ具合や角度によって、線の太さを自由自在にコントロールできます。眉尻の、あのシュッと消え入るようなシャープなラインを描けるのは、このタイプならではの芸当です。
<デメリットと注意点>
高い技術力が必要: 筆先が柔らかいため、安定した線を描くには、ある程度の練習と慣れが必要です。手がブレやすい方や、初心者の方には、少し難しく感じるかもしれません。
<こんな方におすすめ>
・「とにかくリアルな毛並み感にこだわりたい」という、完璧主義者の方。
・ある程度メイクに慣れていて、より高度な表現を求める中〜上級者の方。
フェルトタイプ:安定感抜群の、頼れる優等生
リキッドアイライナーなどでもおなじみの、硬めのフェルトで作られたペン先です。
<特徴とメリット>
・抜群の安定感: 筆先が硬く、しなりが少ないため、手ブレしにくく、誰でも均一で安定した線を描くことができます。
・初心者でも簡単: まるでサインペンで描くような感覚で、狙った場所に、思った通りの線を引くことができます。リキッドアイブロウへの苦手意識を克服するには、まずこのタイプから入るのが、圧倒的におすすめです。
<デメリットと注意点>
・表現の幅が狭い: 細筆タイプのような、強弱のある繊細な表現は少し苦手。ややもすると、均一すぎて「描きました感」が出てしまうことも。
・液の含み: 使い続けていくうちに、ペン先にファンデーションなどが詰まり、液が出にくくなることがあります。こまめにティッシュで拭き取るなどのメンテナンスが必要です。
<こんな方におすすめ>
・「リキッドは初めて」という、初心者の方。
・「とにかく手ブレせずに、安定した眉尻を描きたい」方。
私自身、最初はフェルトタイプでリキッドに慣れ、自信がついたところで、より繊細な表現を求めて細筆タイプに移行しました。このステップアップが、挫折しないための、王道のルートだと確信しています。
4. 眉尻をシャープに描くテクニック
「眉は、眉尻にこそ、その人の品格と美意識が現れる」
これは、私が尊敬するヘアメイクアップアーティストの言葉です。パウダーでふんわりと描かれた眉も素敵ですが、リキッドで描かれた、シュッとシャープな眉尻は、顔全体の印象を驚くほど引き締め、知性と洗練されたムードを醸し出します。そして何より、一日中消えない!
この「消えない美眉尻」を手に入れるための、具体的なテクニックを、ステップバイステップで解説します。
STEP 1:土台を整える
描く前の、ほんのひと手間が、仕上がりと持続力を大きく左右します。
眉を描く部分に、フェイスパウダーをブラシで軽く乗せ、余分な油分やスキンケアの油膜をオフします。肌表面をサラサラにしておくことで、リキッドが滑らず、しっかりと定着します。
STEP 2:黄金比で「終点」を決める
闇雲に描き始めるのではなく、まず眉尻のゴール地点を決めます。
一般的に美しいとされるのは、「小鼻の脇と、目尻を結んだ延長線上」です。
アイブロウペンシルなどを当てて、その位置に小さな点(ガイド)を打っておくと、迷わず描くことができます。
STEP 3:「小指」で手元を固定する
これが、手ブレを防ぐための、最も重要で、最も簡単なプロの技です。リキッドを持つ手の小指を、頬骨の高い位置にそっと置きます。これだけで、小指が「支点」となり、手元が驚くほど安定します。まるで、三脚を立ててカメラを構えるようなものです。
STEP 4:筆を「立てて」、力を抜いて描く
眉の上側のラインから、先ほど決めたゴール地点に向かって、筆を肌に対して垂直に近い角度で立て、「スーッ」と一息で線を描きます。この時、力を入れすぎないのが最大のポイント。「肌の表面を、筆先で優しくなでる」くらいの、ごくごく軽いタッチで描きましょう。力を入れると、線が太くなり、ベタっとした印象になってしまいます。
STEP 5:下のラインと繋げて、隙間を埋める
上のラインが描けたら、今度は下のラインも同様に描き、2本の線で眉尻の輪郭を決めます。その後、その内側の隙間を、毛流れに沿って、1本1本埋めるように描き足していきます。
最初は、綿棒やコンシーラーを横に置いて、はみ出したらすぐに修正できるようにしておくと安心です。このシャープな眉尻が、一度決まるようになると、あなたのメイクのレベルは、間違いなく数段階アップします。
※関連記事:前髪とのベストバランス!ヘアスタイルがもっと似合うアイブロウデザインの法則
5. 眉頭や足りない部分に毛を描き足す方法
リキッドアイブロウの真骨頂は、眉尻だけでなく、「足りない部分に、まるで本物の毛が生えているかのように、自然に描き足せる」点にあります。
このテクニックをマスターすれば、あなたの眉は、もはや「描く」という概念を超え、「創り出す」という、アーティストの領域へと到達します。
眉頭:「下から上へ」立ち上がりを創る
眉頭は、顔の印象を決定づける、最も重要なパーツです。ここにリキッドをベタっと塗ってしまうと、一気に不自然な「怒り眉」になってしまいます。
<コツ>
筆先に残った、ごく少量の液で描くのがポイント。一度ティッシュで軽く液量を調整してから、鏡を少し見下ろすように持ち、眉毛の下のラインから、上に向かって、シュッシュッと、毛を数本描き上げるイメージです。まるで、地面から草が生えているかのように。この「抜け感」が、垢抜けた印象を創り出します。
眉の中間(毛が薄い部分):毛流れに沿って「隙間」を埋める
眉毛の一部が、なぜか生えてこない…。そんな「眉のハゲ」に悩んでいる方は、少なくないはずです。私も、右眉の中間に、小さな円形脱毛症のような隙間があり、長年のコンプレックスでした。この隙間を、ペンシルやパウダーで埋めようとすると、どうしてもその部分だけ色が濃くなり、不自然になってしまいます。
<コツ>
ここでこそ、リキッドの出番です。筆を、周りの毛が生えているのと同じ角度に傾け、毛流れに沿って、「チョン、チョン」と、1本ずつ、丁寧に線を描き足していきます。「面」で埋めるのではなく、あくまで「線」で隙間を埋める。この意識が、驚くほど自然な仕上がりを生み出します。
全体のバランスを見る「引きの目」
夢中になって1本1本描いていると、つい視野が狭くなりがち。数本描いたら、一度顔を上げて、腕を伸ばした距離から、鏡で顔全体のバランスを確認する癖をつけましょう。左右の眉の高さは合っているか、濃さは均一か。
この「引きの目」で見る時間を持つことが、左右非対称な「ちぐはぐ眉」を防ぐための、何よりの秘訣です。
この描き足しテクニックは、もはやメイクというより、アートに近い作業かもしれません。
しかし、自分のコンプレックスだった部分が、自分の手で、まるで最初からそうであったかのように美しく生まれ変わる。その感動は、何物にも代えがたい喜びです。

6. パウダーとの併用で最強の立体眉に
リキッドアイブロウを使い始めたばかりの頃、私が陥った失敗。
それは、「全部をリキッドだけで仕上げようとして、のっぺりとした、貼り付けたような眉になってしまう」というものでした。
リキッドは「線」を描くのは得意ですが、「面」をふんわりと埋めるのは、少し苦手。
そこで、私がたどり着いた最強のメソッドが、リキッドアイブロウと、ふんわり質感の王様である「アイブロウパウダー」を組み合わせるという、ハイブリッド戦略です。
この二つを組み合わせることで、それぞれの長所が最大限に引き出され、単体で使うよりも、遥かに立体的で、自然で、そして落ちにくい「最強の眉」が完成するのです。
まるで、建物を建てる時のように。リキッドで「骨格」を作り、パウダーで「肉付け」をする、というイメージです。
組み合わせパターン1:「仕込みパウダー」で、ガイドラインを作る
これは、リキッドにまだ慣れていない初心者の方に、特におすすめの方法です。
1. まず、アイブロウパウダーの明るい色を使い、眉全体の形を、ふんわりと縁取ります。「私は、こういう眉になりたい」という、下書き(ガイドライン)を描くイメージです。
2. そのガイドラインに沿って、リキッドアイブロウで、眉尻や、毛の足りない部分を描き足していきます。下書きがあるので、大きく失敗することがありません。
3. 最後に、スクリューブラシで全体を軽くぼかせば、リキッドのラインがパウダーと自然に馴染み、驚くほどナチュラルな仕上がりに。
組み合わせパターン2:「仕上げパウダー」で、立体感を出す
これは、より立体感とふんわり感を重視する、中〜上級者向けの方法です。
1. まず、リキッドアイブロウで、眉尻のラインと、毛の足りない部分の「骨格」を、完璧に描きます。この時点では、少しシャープすぎるくらいでOKです。
2. 次に、アイブロウパウダーを取ります。眉頭には一番明るい色を、眉の中央には中間色を、そして眉尻に向かって一番濃い色を、グラデーションになるように、ふんわりと乗せていきます。
3. このパウダーが、リキッドで描いたシャープな線を、内側から和らげ、まるで本物の眉が持つような、自然な陰影と立体感を生み出してくれるのです。
4. 最後に、眉マスカラで毛流れを整えれば、プロ級の立体眉が完成します。
私自身、普段のメイクでは、この「仕上げパウダー」のテクニックを愛用しています。リキッドの持続力と、パウダーの柔らかさ。この二つの「いいとこ取り」をすることで、私の眉メイクは、ようやく完成形にたどり着いたのです。
※関連記事:ホルモンバランスと眉毛の関係|女性のライフステージにおける眉の変化と対策
7. 汗や皮脂に強い!落ちない眉の仕込み技
リキッドアイブロウは、それ単体でも非常に落ちにくいアイテムです。
しかし、真夏の炎天下でのレジャー、汗だくになるスポーツ、あるいは絶対にメイクを崩したくない、結婚式のような特別な日。
そんな「絶対に眉を死守したい」という日には、さらに鉄壁の守備を固めるための「仕込み技」が存在します。
これは、私がヘアメイクの友人から伝授してもらった、プロの現場でも使われている、まさに「裏技」。この仕込みをするかしないかで、眉の寿命は、驚くほど変わります。
仕込み技1:「サンドイッチ・パウダー」法
これは、リキッドアイブロウを、フェイスパウダーで挟み込む、というテクニックです。
1. スキンケア後、眉を描く前に、まず、アイブロウエリアに、フェイスパウダー(ルースタイプがおすすめ)を、ブラシで薄く、均一に乗せます。これにより、肌表面の余分な油分が吸収され、サラサラのキャンバス状態になります。
2. その上から、リキッドアイブロウで、いつも通り眉を描きます。
3. 眉を描き終えたら、仕上げにもう一度、上からフェイスパウダーを、大きめのブラシで、ふんわりと重ねます。
この「パウダー→リキッド→パウダー」というサンドイッチ構造が、リキッドを肌にがっちりと固定し、汗や皮脂がリキッドに直接触れるのを防いでくれるのです。
仕込み技2:「アイブロウコート」で、物理的にコーティング
「アイブロウコート」は、描いた眉の上から重ねる、透明なトップコートのようなアイテムです。
これを仕上げにひと塗りするだけで、眉の上に耐水性のフィルムが形成され、汗、水、皮脂、摩擦から、描いた眉を物理的にガードしてくれます。
<ポイント>
液体がドバっとつくと、せっかく描いた眉が滲んでしまうことがあるので、容器の口でしっかりと液量を調整し、眉毛をなでるように、ごくごく薄く塗るのがコツです。速乾性の高いものを選びましょう。
仕込み技3:「ティントタイプ」のリキッドアイブロウを選ぶ
最近では、肌の角質層を一時的に染める「ティントタイプ」のリキッドアイブロウも人気です。夜のスキンケアの最後に描いておくと、翌朝には色が定着し、洗顔しても消えない眉が完成します。数日間色が持続するので、旅行やすっぴんでいることが多い日に、絶大な安心感を与えてくれます。ただし、失敗すると数日間修正できないので、慣れるまでは慎重に。
私自身、友人の結婚式で号泣することが予想された日には、この「サンドイッチ・パウダー法」と「アイブロウコート」のダブル使いで臨みました。結果、ハンカチで涙を拭っても、私の眉は、最後まで完璧なままでした。この安心感は、何物にも代えがたいお守りです。
※関連記事:【アイブロウコスメ徹底比較】プチプラvsデパコス!価格差と実力の違い
8. リキッドアイブロウのよくある失敗例
どんなに便利なツールも、使い方を間違えれば、悲劇を生み出します。リキッドアイブロウも、例外ではありません。ここでは、多くの初心者が「やっちまった!」と頭を抱える、代表的な失敗例と、その絶望的な状況から生還するための、具体的なリカバリー方法を、私の苦い経験と共にご紹介します。
失敗例1:「海苔」眉
これが、最も恐れられている失敗でしょう。色選びのミスや、力の入れすぎによって、眉全体が、まるで黒いサインペンで塗りつぶしたかのような、のっぺりとした仕上がりになってしまう現象です。
<原因>
・髪色に対して、色が濃すぎる。
・筆を寝かせ、ベタっと塗ってしまっている。
・眉頭まで、しっかりと描きすぎている。
<リカバリー方法>
・乾く前に、スクリューブラシでぼかす! これが一番効果的です。描いてすぐ、リキッドが完全に乾ききる前に、スクリューブラシで眉頭から眉尻に向かって、サッサッと優しくとかします。これにより、ラインがぼやけ、肌に馴染みます。
・綿棒に、コンシーラーか乳液を少量つける。 そして、眉の輪郭をなぞるようにして、はみ出したり、濃すぎたりする部分を、優しく拭き取ります。
失敗例2:「麻呂」または「怒り」眉
眉頭の位置や角度を間違えることで、どこか間の抜けた「麻呂眉」になったり、不自然に険しい「怒り眉」になったりする失敗です
<原因>
・眉頭を、小鼻の真上よりも、内側または外側から描き始めている。
・眉頭の毛を、真横に描いてしまっている。
<リカバリー方法>
・まず、鏡を正面に見て、小鼻の真上の位置に、薄く印をつけます。眉頭は、そこから内側にも外側にも、はみ出さないのが基本です。
・描きすぎてしまった部分は、綿棒で優しくオフ。そして、眉頭は必ず「下から上へ」、毛を数本描き足すだけに留めましょう。
失敗例3:「ガタガタ」または「左右非対称」眉
<原因>
・手元が固定されておらず、ブレてしまう。
・片方の眉だけを見て、集中しすぎている。
<リカバリー方法>
・まず、小指を頬に当てて手元を固定する、という基本に立ち返りましょう。
・そして、数本描くごとに、顔から鏡を離し、顔全体の中での眉のバランスを、常に確認する癖をつけます。左右交互に、少しずつ描き進めていくのも、非対称を防ぐための有効なテクニックです。
失敗は、成功のもと。これらの失敗例とリカバリー方法を頭に入れておけば、もうリキッドアイブロウは怖くありません。恐れず、挑戦してみてください。

9. 人気ブランドのおすすめアイテム比較
さて、理論とテクニックを学んだところで、いよいよ、あなたのパートナーとなる「一本」を選ぶ旅に出ましょう。
ここでは、私が実際に試し、多くのメイク好きの友人たちの間でも評価が高い、代表的なブランドのアイテムを、その特徴と共に比較・紹介します。ただし、これはあくまで私の主観も含まれる「参考情報」。最終的には、あなた自身が店頭で試し、最も「描きやすい!」と感じたものが、あなたにとっての運命の一本です。
【繊細ラインの王様】ADDICTION(アディクション)アイブロウリキッド マイクロ
<特徴>
とにかく筆先が細く、コシがある。まるで絵の具の細筆のように、驚くほど繊細で、リアルな毛を1本1本描くことができます。発色も絶妙にシアー(薄づき)なので、重ねても濃くなりすぎず、失敗が少ないのも魅力。
<こんな方におすすめ>
「とにかく自眉感、リアルな毛並み感を追求したい」という、こだわり派の方。メイク中〜上級者の方。
【安定感とカラバリの女王】CEZANNE(セザンヌ)超細芯アイブロウ(リキッド)
<特徴>
プチプラとは思えない、クオリティの高さで絶大な人気を誇る一本。フェルトと細筆の中間のような、程よくコシのある筆先で、安定感と繊細さを両立しています。オリーブブラウンやピンクブラウンなど、ニュアンスカラーの展開が絶妙で、垢抜け眉を簡単に作れます。
<こんな方におすすめ>
「リキッドは初めて」という初心者の方。「コストを抑えたいけど、質には妥協したくない」という賢い方。
【落ちにくさの鉄人】K-パレット 1DAY TATTOO ラスティングツーウェイアイブロウリキッドWP
<特徴>
「1DAY TATTOO」の名に恥じない、圧倒的な持続力が魅力。汗・水・皮脂に強いスーパーウォータープルーフ処方で、まさに「消えない眉」を実現してくれます。パウダーがセットになったWエンドタイプなので、これ一本で立体眉が完成する手軽さも人気の理由。
<こんな方におすすめ>
スポーツをする方、汗をかきやすい方、夏場のレジャーやイベントを控えている方。「とにかく落ちないこと」を最優先する方。
【薄づきナチュラル派の救世主】Fujiko(フジコ)書き足し眉ティント
<特徴>
通常のリキッドとは一線を画す、非常に薄づきで、透けるような発色が特徴。まるで、眉毛の「影」を描くように、自然に隙間を埋めることができます。4つに分かれた特殊な筆先で、とかすように描くだけで、ナチュラルな毛流れが生まれます。
<こんな方におすすめ>
「描きました感を絶対に出したくない」という、ナチュラルメイク派の方。眉毛はしっかりあるけれど、部分的に薄いのが悩み、という方。
これらの情報を参考に、ぜひ、あなたの「相棒」を見つける旅を楽しんでください。
10. アイブロウメイクの表現の幅を広げる
リキッドアイブロウを、あなたはまだ「眉毛を描くためだけの道具」だと思っていませんか?
もしそうなら、そのポテンシャルの、まだ半分しか引き出せていません。その極細の筆先と、肌に馴染む絶妙な発色は、眉メイクの領域を遥かに超え、あなたの顔の、あらゆる「影」を操ることを可能にする、魔法の杖となり得るのです。
この応用テクニックを知ってから、私のメイクの表現の幅は、劇的に広がりました。
応用テク1:「涙袋の影」を、こっそり仕込む
ぷっくりとした涙袋は、目を大きく、そして優しく見せてくれる重要なパーツ。しかし、濃いブラウンのアイシャドウで影を描くと、クマのように見えたり、不自然になったりしがちです。
<方法>
ここで、薄づきのリキッドアイブロウ(特に、グレー系や薄いブラウン)の出番です。にこっと笑った時に、ぷっくりと盛り上がる涙袋の下に、「スーッ」と、ごくごく短い線を描きます。そして、その線が乾かないうちに、指や綿棒で、素早くぼかす。たったこれだけで、まるで生まれつきであるかのような、驚くほど自然な涙袋の影が完成します。
応用テク2:「二重のライン」を、1ミリ延長する
目を閉じた時に、二重のラインが目尻で途切れていませんか?このラインを、リキッドアイブロウで、ほんの1〜2ミリだけ、目の形に沿って描き足してみてください。
<方法>
目を開けた時に、アイラインと平行になるように、すっと流すように描くのがポイントです。これにより、目の横幅が自然に拡張され、アイラインだけを伸ばすよりも、遥かにナチュラルな「デカ目効果」が生まれます。
応用テク 3:「生え際」の隙間を埋めて、小顔効果
髪をアップにした時、おでこの生え際のM字部分や、もみあげの薄さが気になることはありませんか?
<方法>
ここにも、リキッドアイブロウが活躍します。髪の毛を描く要領で、地肌の気になる部分に、短い線を何本も描き足していきます。その後、パウダーアイシャドウなどで軽くぼかせば、驚くほど自然に生え際の密度がアップし、顔の面積が小さく見えるという、嬉しい小顔効果まで得られます。
リキッドアイブロウは、もはやアイブロウだけのアイテムではありません。あなたの顔の、あらゆる「影」を自在に操り、コンプレックスを魅力へと変える、万能のクリエイティブツールなのです。
※関連記事:アイブロウデッサンで学ぶ!顔の黄金比と理想の眉の描き方
新しい「線」が、新しい「自信」をくれる
リキッドアイブロウ。それは、多くの人にとって、少しだけハードルの高い、上級者向けのアイテムかもしれません。私自身、そのシャープな線が怖くて、長い間、パウダーの柔らかな世界から抜け出せずにいました。しかし、勇気を出して、その一本の「線」を自分のメイクに取り入れてみた時、私は、新しい自分に出会うことができたのです。
それは、汗をかいても消えないという、物理的な「安心感」だけではありませんでした。
眉尻が、シュッと美しく決まっている。
その小さな事実が、私に、不思議なほどの「自信」を与えてくれたのです。
それは、背筋がすっと伸びるような、大人の女性としての、ささやかな誇りのような感覚でした。
この記事でお伝えしたことは、決して難しいテクニックではありません。
まずは、あなたのいつもの眉メイクの、眉尻のたった一本の線を、リキッドに変えてみる。あるいは、ほんの少しだけ、足りない部分に毛を描き足してみる。その小さな挑戦が、あなたのメイクを、そしてあなたの毎日を、もっと楽しく、もっと輝かせてくれる、魔法の一筆になることを、私は心から信じています。